作曲家・三枝成彰　公式ウェブサイト

「愛の手紙　～恋文」は、80歳の私がこの1年をかけて取り組んできた渾身の新作で、今回が世界初演となります。 

リストやモーツァルト、ベートーヴェンやワーグナー、そして川端康成や伊藤野枝、大杉栄や寺山修司など、世界の著名人が書き残した“ラブレター”に綴られた言葉をもとに書いた、男声合唱と管弦楽のための合唱曲集で、全9曲の構成です。 

昨年、私は「80歳コンサート」と銘打って、辻井伸行さんの委嘱による新作の「ピアノ協奏曲」と、混声合唱版の「最後の手紙　The Last Message」と初演しました。 
 
「最後の手紙」は、第二次世界大戦で亡くなった兵士たちが恋人や家族に宛てて送った“最後の手紙”をもとに構成した合唱曲でしたが、「愛の手紙　～恋文」は、それと対をなす作品だと考えています。 

ここには愛の囁きがあり、「会いたい」という切実な思いがあり、艶めかしいジョークがあり、命をかけたメッセージがあります。

皆様にはぜひ、行間にある彼ら彼女らの“声”を、聴いていただきたいと思います。自分で言うのもおこがましいのですが、最高傑作だと自負しております。